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電気は実際どれだけきれいになったか:CO2強度の10年

脱石炭」(#85)で石炭の退場を、「石炭が抜けた先」(#86)で風力+太陽光の急増を、「ガスは代役か」(#87)で天然ガスの役回りを見た。では、その結果として各国の電気は実際どれだけクリーンになったのか。電力1kWhあたりのCO2排出量(CO2強度)を、同じ5か国で10年並べる。答えは明快だった——電源構成を変えた国ほど、電気がきれいになっている。

背景:3部作の「結果」を1枚で

CO2強度(gCO2/kWh)は、発電1kWhあたり何グラムのCO2を出したかを示す。石炭が減り(#85)、風力+太陽光が増え(#86)れば、この数字は下がるはずだ。本記事はEmber比較シリーズの帰結で、電源構成の変化が「電気のきれいさ」にどう表れたかを縦断で確かめる。なお過去記事「電気のきれいさを5か国で比べる」(#67)がある時点の断面だったのに対し、本記事は10年のトレンド=誰がどれだけ改善したかに焦点を当てる。

データ:電力のCO2強度(年平均, gCO2/kWh)

2025年の値が低い(クリーンな)順。

| 国 | 2015 | 2020 | 2025 | 10年の変化 | |---|---:|---:|---:|---| | 英国 | 428 | 235 | 203 | −53%(ほぼ半減) | | ドイツ | 521 | 366 | 339 | −35% | | 米国 | 503 | 409 | 382 | −24% | | 日本 | —※ | 507 | 448 | −12%※(改善最小) | | 中国 | 732 | 655 | 563 | −23%(なお5か国最高) |

※ 日本のEmber月次は2018-04開始のため2015欄は「—」、変化は2018年(510)基準。

原因と結果:電源構成を変えた国ほど、電気がきれいになった(2015→2025)

| 国 | 石炭 #85 | 風力+太陽光 #86 | → CO2強度 #89 | |---|---:|---:|---:| | 英国 | −25.5pt | +26.2pt | −53% | | ドイツ | −22.1pt | +27.1pt | −35% | | 米国 | −16.7pt | +13.4pt | −24% | | 中国 | −16.6pt | +14.5pt※ | −23% | | 日本 | −1.6pt | +4.6pt※ | −12% |

※ 日本・中国は2018年基準。電源構成は原子力・水力なども関与するため、CO2強度の変化は石炭・再エネだけで決まるわけではない。

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英国:CO2強度は2015年の428から2025年203へ、10年でほぼ半減。石炭ゼロ化と風力+太陽光の急増が効いた。

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日本:CO2強度は2018年の510から2025年448へ、−12%にとどまる。5か国で改善が最も小さい。

読み解き

  1. 英国は電気のCO2強度を半減させた:428→203(−53%)。石炭をゼロにし(#85)、風力+太陽光を倍以上に増やした(#86)ことが、最終指標であるCO2強度の半減として表れた。5か国で最大の改善。
  2. ドイツ−35%・米国−24%:ドイツは石炭半減+再エネ倍増で大きく低下したが、脱原発が下げ止まりを作り339で踏みとどまる。米国は石炭→ガス+再エネ(#87)で漸減、382。ガスは石炭より低炭素だがゼロではないため、減り方は英独より緩い。
  3. 中国−23%、それでもなお断トツ最高:石炭最大依存のまま(#85)だが、世界最大の再エネ建設でCO2強度を23%削減した。ただし2025年でも563gと5か国で突出して高い。
  4. 日本は−12%のみ=改善が最も小さい:石炭をほとんど動かさず(#85 −1.6pt)、風力も増やせなかった(#86 風力1.4%)結果、CO2強度の改善幅が5か国で最小。電気のクリーン化が最も遅れている。
  5. 結果としての逆転:2025年、日本のCO2強度448は中国(563)に次ぐ2番目に高く、英国(203)の2倍以上。脱石炭3部作で繰り返し見た「日本だけ電源構成が動かない」が、CO2強度という最終結果にそのまま刻まれた。電源構成を変えた国ほど電気がきれいになり、変えなかった日本が取り残された——これがこの4本(#85石炭・#86再エネ・#87ガス・本記事CO2強度)の結論だ。

注: 本記事は過去データ(月次→年平均)の記述的分析であり、将来予測ではない。CO2強度はEmber定義の発電に伴う運用CO2(gCO2/kWh)で、設備製造・燃料採掘等を含むライフサイクル排出とは異なる。データ起点は国で異なり(日本2018-04、米国2001〜)年平均で比較した。CO2強度の低下は石炭減・再エネ増のほか、ガス転換・原子力・水力など複数の要因を反映し、単一原因には帰せない。#67(断面)の2025-12値とは、年平均か月値かの違いで数値が若干異なる。

出典

編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)

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