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脱石炭の通信簿:英国ゼロ、日本だけ止まったまま

2015年からの10年で、電気に占める石炭の割合はどう動いたか。英国は石炭をゼロにし、ドイツ・米国はほぼ半減、中国もシェアは下がった。だが日本だけが、ほとんど動いていない。「脱石炭の進捗」を、発電量に占める石炭シェアの時系列で並べる。

背景:CO2強度の「断面」から、脱石炭の「時系列」へ

これまで「電気のきれいさを主要5か国で比べる」や「なぜ日本の電気はCO2強度が高いのか」では、ある時点の電源構成・CO2強度を断面で比べた。本記事はその姉妹編で、視点を時系列に移す。問いは「この10年で、誰が実際に石炭から離れたか」。電気に占める石炭の割合(発電量シェア)を、2015年から最新まで主要5か国で追う。

データ:電力の石炭シェア(年平均, %)

| 国 | 2015 | 2020 | 2025 | 10年の変化 | |---|---:|---:|---:|---| | 英国 | 23.4 | 1.7 | 0.0 | −23.4pt(ゼロ達成) | | ドイツ | 41.4 | 22.4 | 19.7 | −21.7pt(ほぼ半減) | | 米国 | 32.9 | 18.9 | 16.2 | −16.7pt(ほぼ半減) | | 中国 | 72.2 | 64.7 | 55.1 | −17.1pt(なお5か国最高) | | 日本 | —※ | 30.8 | 28.8 | −1.6pt(ほぼ横ばい)※ |

※ 日本の Ember 月次は 2018-04 開始のため2015欄は「—」、変化は2018年(30.4%)基準の7年分。

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英国:石炭シェアは2015年の23.4%から下がり続け、2025年は年平均0.0%。2024年9月に最後の石炭火力が閉鎖した。

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日本:2018年以降、おおむね29〜31%の帯で横ばい。明確な下降トレンドがない。

読み解き

  1. 英国は石炭をゼロにした:23.4%(2015)→ 0.0%(2025)。2024年9月、最後の石炭火力 Ratcliffe-on-Soar が閉鎖し、年平均でゼロに到達した。背景には炭素価格の下支えや計画的な閉鎖など複数の政策があり、単一の要因ではない。
  2. ドイツ・米国はほぼ半減:ドイツは41.4%→19.7%(再エネ拡大と脱原発の綱引き。2022年はウクライナ危機でガスが逼迫し、一時30%台に逆戻りしたのち再び低下)。米国は32.9%→16.2%(安価なシェールガスへの置換が主因の一つ)。
  3. 中国はシェアでは確実に下がった:72.2%→55.1%(−17pt)。太陽光・風力の大量導入で発電量の分母が急拡大し、石炭の「割合」は低下した。ただし5か国でなお最高水準であり、かつ石炭の絶対発電量はむしろ増えている——シェアの低下は「石炭が減った」を意味しない。
  4. 日本だけが動いていない:30.4%(2018)→ 28.8%(2025)、7年で−1.6pt。5か国で唯一、明確な脱石炭の傾きがない。
  5. 10年で起きた逆転:2015年時点で日本(約30%)は、英国(23.4%)と米国(32.9%)・ドイツ(41.4%)の中間にいた。だが各国が下げ、日本が止まったままだったため、2025年には日本が先進国(英・米・独)の中で最も石炭依存が高い国になった。5か国で日本より上はもはや中国だけだ。

注: 本記事は過去データ(月次→年平均、Emberのシェア%)の記述的分析であり、将来予測ではない。シェア(%)は発電量に占める石炭の割合で、石炭の絶対発電量とは別の指標である(特に中国は分母の急拡大でシェアが下がる一方、絶対量は増加)。データ起点は国で異なり(日本は2018-04開始)、直近月も国差がある(日本は2026-02、中国は2026-04、英・独・米は2026-05まで)ため、年平均で比較した。脱石炭のペースを規定する要因(政策・ガス価格・再エネ導入・原子力)は国ごとに異なり、単一原因には帰せない。

2026-08 に Ember がデータセットを刷新し、英国の収録範囲拡大に伴って過去値が改訂された。本記事は改訂後の値に更新済み(英国の水準が旧公表値より低く出る系列がある)。

2026-09 の月次更新でドイツの全期間(2015-01〜)の値が改訂された(発電量・需要が +1〜2.5%、CO2 強度が +2〜4%。他 4 か国は直近数ヶ月のみ)。本記事のドイツの数値は 2026-09-09 に改訂後の値へ更新済み。

出典

編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)

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