電気の「きれいさ」を主要5か国で比べる — 日本の電力 CO2 強度はどこに立つか
電気が「どれだけクリーンか」は、発電 1 kWh あたりに出る二酸化炭素の量(CO2 強度、gCO2/kWh)で測れる。同じ 1 kWh でも、石炭中心の電力と、風力・原子力中心の電力では、排出量がまるで違う。ここでは Ember Monthly Electricity Data(CC-BY-4.0、catalog 205 系列・国際 22 系列の Ember 5 ヶ国電力部門 CO2 強度)を使い、主要 5 か国(日本・米国・中国・ドイツ・英国)の月次 CO2 強度を 1 ページに並べ、日本がどこに立っているかを確かめる。Phase 2 国際ドメイン Ember 第 1 弾。
5 か国の電力 CO2 強度(gCO2/kWh、月次)
各チャートは独立した y 軸で、出典・as-of 日付・ライセンス(CC-BY-4.0)を figcaption に明示している。5 か国は同じ単位(gCO2/kWh)で揃えているため、上下の振れ幅の絶対値どうしを目視で比較できる。
直近スナップショット(2025-12)
| 国 | CO2 強度 (gCO2/kWh) | 位置づけ | |---|---|---| | 中国 | 約 592 | 最も高い(石炭火力が主力) | | 日本 | 約 476 | 2 番目に高い | | 米国 | 約 384 | ガス+再エネで中位 | | ドイツ | 約 357 | 再エネ拡大で低下基調 | | 英国 | 約 192 | 最も低い(石炭全廃+洋上風力) |
日本の電力は、この 5 か国の中で中国に次いで CO2 強度が高い。英国と比べると約 2.5 倍の排出強度であり、「電気のきれいさ」では先進国の中で見劣りする位置にある。
なぜ差がつくのか
CO2 強度は 電源構成でほぼ決まる。英国は 2010 年代に石炭火力をほぼ全廃し、洋上風力と天然ガス・原子力に置き換えたことで強度を大きく下げた。ドイツは再生可能エネルギーの拡大で低下基調が続く。米国は石炭からガスへのシフトと再エネ増で中位。中国は発電量の急増を石炭が支えており、強度は高止まりしている。
日本が高めにあるのは、東日本大震災後に原子力の稼働が大きく落ち、LNG・石炭火力への依存が続いたことが大きい。再エネ比率は上昇しているものの、ベースロードを火力が担う構造が CO2 強度に表れている。日本の電源構成と再エネ比率の長期トレンドは、関連 Insight(#21)で月次ベースの推移を追える。
読み取りの注意
- CO2 強度 = 排出量 ÷ 発電量であり、発電「量」の大小とは別物。中国は発電量が桁違いに大きいが、ここで比べているのは 1 kWh あたりの強度である。
- 月次データには季節性がある(暖房・冷房需要、水力・風力の季節変動など)。短期の上下より中期のトレンドと国家間の差を見る。
- 集計開始時期は国によって異なる(米国 2001-、中国・ドイツ・英国 2015-、日本 2018-)。共通して比較できるのは概ね 2018 年以降。
- 数値は Ember の月次推計(CC-BY-4.0)。発電実績の確報反映で遡及改定されることがある。
関連 Insight
- なぜ日本の電気は CO2 強度が高いのか → 同じ Ember データで主要 5 か国の電源構成シェアを並べ、CO2 強度の差を石炭・ガス・原子力・再エネの構成から読み解く姉妹編(#68)
- 再エネ比率の 5 年トレンド → 日本の電源構成・再エネ比率の月次推移(#21)
- ECB と Fed、どちらが利上げに速いか → Phase 2 国際ドメイン第 1 弾、政策金利と為替の連動(#66)
- 国際ドメイン → ECB / EUR 為替 / Ember 5 ヶ国電力(/domain/international)
データと出典
Ember Monthly Electricity Data は CC-BY-4.0 で公開されており、出典明記の上で再利用できる。各系列の現行ライセンスは catalog 個別ページの引用ボタンで確認できる(編集物は CC BY 4.0、個別系列は各 license に従う — 方法論 §9)。
- Ember Monthly Electricity Data(CC-BY-4.0、月次、5 ヶ国電力部門 CO2 強度)
- 当データはエネルギー情報センター運営 eic-data-pipeline が毎朝 8:00 JST に自動更新
構成系列: ember-co2-intensity-jp / ember-co2-intensity-us / ember-co2-intensity-cn / ember-co2-intensity-de / ember-co2-intensity-gb(5 系列、Ember)/レンダラ: ChartLine ×5
編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)
📋 引用形式コピー
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note = {Accessed: 2026-06-04; License: CC BY 4.0},
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