三次調整力② × JEPX — 需給調整単価と卸価格・燃料の年次連動 (2021〜)
需給調整市場で唯一 5 年取れる長期系列・三次調整力② と JEPX スポット価格・燃料価格の連動を年次粒度で可視化。EPRX 公表の相関係数は 0.80 → 0.70 → 0.37 と低下、燃料局面で連動し平時で乖離する構造を読み解く。
はじめに
需給調整市場の 三次調整力② は、応動 45 分以内の最も緩い調整力で、再エネの予測誤差に対応します。市場開設の 2021 年度から取れる唯一の長期系列であり、卸電力価格 (JEPX スポット)・燃料価格と最も連動しやすい商品です。本記事では、EPRX が公表する年次の取りまとめから、三次調整力② の年間平均落札単価と JEPX の連動を年次の粒度で読み解きます。
三次調整力② の年間平均落札単価 (2021〜)
| 年度 | 平均落札単価 (円/ΔkW・30分) | |---|---| | FY2021 | 2.58 | | FY2022 | 3.49 | | FY2023 | 1.46 | | FY2024 | 3.30 | | FY2025 上期※ | 1.14 |
※ 上期 (4〜9 月) のみの暫定平均。
2021 年度から燃料高騰局面に入って 2022 年度に 3.49 円とピーク、燃料・卸が沈静化した 2023 年度に 1.46 円へ急落、2024 年度に 3.30 円へ再上昇、という大きな上下動を示しています。
JEPX スポット 東京 (参考)
JEPX スポット 東京エリアの日次価格を全期間で重ねて参照します。年次粒度の三次調整力② に比べると当然はるかに高解像度ですが、燃料高騰の 2022 年と沈静化した 2023 年、再上昇した 2024 年という年単位のうねりは目視で読み取れます。
JEPX との連動 — EPRX 公表の相関係数で見る
EPRX は各年次の取りまとめで、三次調整力② と JEPX スポット価格の相関係数 (週次移動平均ベース) を公表しています。自前計算ではなく公表値を引用すると、連動の強さは年を追って低下しています。
| 年度 (公表元) | 三次② × JEPX スポットの相関係数 | |---|---| | FY2021 (2021 年度 PDF) | 約 0.80 (落札単価ベース、応札 0.83) | | 2021〜2022 年度通算 (2022 年度 PDF) | 約 0.70 | | FY2023 (2023 年度 PDF) | 年 0.37 (上期 0.66/下期 0.14、応札単価ベース) |
メッセージは明確です。**燃料が急騰した 2021〜2022 年度は強く連動 (r ≈ 0.7〜0.8)**し、燃料・卸が落ち着いた 2023 年度、とくに下期は連動がほぼ消える (0.14)。三次調整力② の価格は、卸電力価格・燃料という「土台」の上で動いていることが読み取れます。
(公表年度により「落札単価」「応札単価」の別や対象期間が異なるため、厳密な時系列比較ではなく、EPRX が示す連動の強弱の推移として読んでください。)
なぜ三次調整力② が JEPX と連動するのか
三次調整力② は kW 価値 (待機) に加えて、実発動時の電力量 (kWh) 価値の比重を持ちます。
- 前日の JEPX スポットで需要に対し供給力が不足する局面で、
- 当日に太陽光などの再エネ出力が予想を下回ると、
- 三次調整力② を発動して不足を補い、
- その価格が JEPX スポットと同じ方向 (燃料高→卸高→調整力高) に動く。
逆に、軽負荷+太陽光余剰で JEPX スポットが極端な低価格 (地域によっては 1 円を切る水準) になる局面では、三次調整力② の必要量・価格も下がります。卸価格の「異常値」も実態であるという観点は、関連する卸価格の解説とあわせて読むと立体的になります。
蓄電池ビジネスへの示唆 (定性)
JEPX の安値で充電し、高値で放電し、需給調整市場でも稼ぐ、という重ね取りは蓄電池の収益機会として注目されます。ただし、需給調整市場は 2024 年度に全商品が出揃ったばかりで、蓄電池・VPP の参入で価格構造が急速に変化しています。具体的な収益額は市場構造に強く依存するため、本記事では断定的な試算は行いません。EIC Data の継続的なデータ更新と業界レポートを合わせて参照してください。
注意点と限界
- 本記事は EPRX の年次取りまとめ PDF (手動取得・年次) に基づきます。日次・30 分コマやエリア別の三次調整力② データは当サイトでは取得していません (EPRX 利用規約上、約定実績の自動取得は事前承諾が必要なため)。
- 相関係数は EPRX 公表値の引用で、公表年度により落札/応札の別・対象期間が異なります。2024 年度以降の相関は今後 EPRX が公表予定です。
- JEPX スポットは既存の日次系列を年次に集約せずそのまま参照表示しています。年単位の連動は数値表 + 文章による解釈で示します。
まとめ
三次調整力② × JEPX は、**「燃料高騰局面で強く連動し、平時で乖離する」**という構造を年次で示します。EPRX 公表の相関係数が 0.80 (2021) → 0.37 (2023、下期 0.14) と低下したことは、需給調整の価格が卸電力・燃料の上に乗っているという関係の表れです。再エネと蓄電池の比重が増すこれからの数年で、この連動がどう変化するかが、引き続き注目点になります。
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- 市場ハブ: 需給調整市場 (EPRX) 編集ページ — 6 商品の最新値と階層図
出典
- 電力需給調整力取引所 (EPRX) 取引実績の取りまとめ結果 — 年次取りまとめ PDF より転記・編集 (加工した旨を明記)
- JEPX スポット (catalog
jepx-spot-tokyo他、日次) - EPRX 利用規約 §4 (非商用・出典明示で利用可、自動的な大量取得は事前承諾)
構成系列: balancing-price-tertiary-2 + jepx-spot-tokyo
編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)
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author = {EIC Data (一般社団法人エネルギー情報センター)},
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note = {Accessed: 2026-06-04; License: CC BY 4.0},
publisher = {EIC Data}
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