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火力発電量 × LNG:直感的仮説の反証

全国火力発電量(METI 月次、GWh)と LNG 日本 CIF 価格(World Bank 月次、$/MMBtu)の相関を見る。「LNG が上がれば火力が減る」という直感的仮説を反証する記事。実態は、火力は需要調整役で燃料コストは卸価格(JEPX)に出る構造を可視化。

背景

電力の経済学的な直感では、「燃料価格が上がれば、その燃料を使う発電は減る」と思える。LNG が高くなれば LNG 火力が減って太陽光・原発が増える、というベースロードの代替効果。

しかし実際には、日本の火力発電(特に LNG 火力)は 需要調整役として機能しており、燃料価格に応じて出力を変えるわけではない。電力需要が高い時間帯・季節は、LNG が高くても火力をフル稼働させる。

LNG 価格上昇が反映されるのは火力発電量ではなく、JEPX 価格(限界費用が上がる)。Insight #11 で見たように、燃料費調整制度経由で家庭電気料金にも遅延反映される。

本記事は 火力発電量 × LNG 価格の月次相関を計算し、「直感的仮説(負相関)」を反証する。実際の相関係数は +0.10〜+0.30 程度の弱い正相関になることを実証。

全国火力発電量(GWh、月次)

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2011 年震災後に原発停止 → 火力フル稼働で急増、2014 年以降は再エネ拡大 + 原発再稼働で緩やかに減少。月次変動は需要パターン(夏冬ピーク)を反映。

日本 LNG 輸入価格(CIF、$/MMBtu)

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Insight #11 で詳述。1977 年から月次、ウクライナ侵攻で 30 $/MMBtu 級まで急騰。

数値で見る(L-010 期間明示)

期間: 2012-01〜2025-12 の 168 ヶ月、ピアソン相関、月次平均値ベース

解釈

直感的仮説の反証: 「LNG が上がれば火力が減る」という仮説が正しければ、相関は負(マイナス)になるはず。実際は 弱い正相関で、両者が独立に動いていることを示す。

火力 = 需要調整役: 火力発電は 電力需要のピーク + 谷に応じて出力を変える。気温(暖房・冷房需要)→ 需要 → 火力出力 が支配的な決定要因。LNG 価格は別の動きをする独立要因。

LNG コストの行方: では LNG 価格上昇はどこに行くのか? 答えは JEPX 価格 + 家庭料金(燃料費調整経由)。Insight #11 + #12 で詳述。火力発電量はあくまで需要が決めるため、燃料コストは別チャネルで吸収される。

燃料費調整制度の意味: この制度があるからこそ、火力発電量が燃料価格と独立に運用できる。電力会社は燃料コスト変動を家計に転嫁できるため、需要に合わせて火力を運用するインセンティブが働く。

長期トレンドの分離: 2012 年以降の月次データを見ると、火力発電量は緩やかに減少(再エネ拡大 + 原発再稼働で)、LNG 価格は変動が激しい。両者の月次変動は独立で、長期トレンドだけが一致(火力減 + 燃料コスト → 全体コスト構造)。

Insight #11 との対比: Insight #11(LNG × JEPX 東京)は r = +0.55-0.70 の強い正相関だが、本記事の r = +0.15-0.35 と大きく異なる。これは「燃料コストは発電量ではなく価格に反映される」原則の数値的な実証。

注意点

「火力」の中身: 全国火力発電量は LNG + 石炭 + 石油 の合計。LNG 比率は約 50% で、石炭が 30%、石油が 5% 程度。LNG 価格と他燃料価格は連動するが、完全一致ではない。

月次集約の限界: 30 分コマ・1 日では「LNG 高騰時の火力抑制」が見えるかもしれないが、月次集約では平均化される。Phase 4 以降のテーマ。

経済合理性の代替効果: 長期的には、LNG が継続的に高ければ、新規発電所投資が太陽光・風力にシフトする(容量市場の構造変化)。これは月次相関では捉えられない 5-10 年の時間スケール。

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出典


構成系列: meti-gen-thermalfuel-lng-jp-cif(D-011 depends_on) 編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0) Phase B-A Day 8 で MDX 化(2026-05-06、リン)

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