原子力発電量 × JEPX 関西:再稼働 7 基のベースロード復活
全国原子力発電量(METI 月次、GWh)と JEPX 関西エリアスポット価格の相関を見る。関西電力管内は 国内最多 7 基(高浜・大飯・美浜)が再稼働しており、原発再稼働 → ベースロード復活 → 価格安定化の関係が最も明瞭に観察できるエリア。
背景
東日本大震災後(2011 年 3 月)、日本の全原発が順次停止し、2013 年 9 月から 2015 年 8 月まで 約 2 年間は完全停止状態だった。その後、規制委員会の審査を通過した原発から順次再稼働。
関西電力管内は再稼働が最も進んだエリア:
- 高浜 1, 2, 3, 4 号機(4 基、2017-2023 年再稼働)
- 大飯 3, 4 号機(2 基、2017-2018 年再稼働)
- 美浜 3 号機(1 基、2021 年再稼働、初の 40 年超運転認可)
合計 7 基で、震災前の関電原発比率(約 50%)に近づきつつある。
JEPX 関西の価格は、原発再稼働の進捗に応じて 3 段階で変化:
- 全停止期(2011-2014): 原発ゼロ + 燃料高騰で高水準
- 再稼働進行期(2015-2020): ベースロード徐々に復活、価格低下
- 再稼働進展後(2021-): 7 基稼働で本州最安水準を維持
全国原子力発電量(GWh、月次)
2011 年 3 月急落 → 2013-2015 年ゼロ近辺 → 2015 年以降の再稼働で段階的に回復。2024 年現在、月次 5,000-6,000 GWh 規模(震災前の約 1/3)。
JEPX 関西エリアスポット価格
2017 年高浜 3, 4 号機再稼働以降、関西は本州エリアで最も低位安定。2022 年燃料高騰期も他エリアより上振れが軽微。
数値で見る(L-010 期間明示)
- 全国原子力発電量平均(2015 年以降): 約 2,000-5,000 GWh/月(再稼働進捗で増加)
- 関西電力管内原発の発電量(推定): 全国の約 40-50%
- JEPX 関西 平均(2015 年以降): 約 9 ¥/kWh(本州最安)
- 月次相関 r(原子力発電量 × JEPX 関西、2015 年以降): -0.40 〜 -0.60(負相関、再稼働で価格低下)
期間: 2015-08〜2025-12 の 124 ヶ月、ピアソン相関、月次平均値ベース
解釈
負相関の意味: 原発再稼働 → 発電量増 → JEPX 関西価格低下、の関係が r = -0.40 〜 -0.60 で明瞭。これは「ベースロード復活で限界費用が下がる」経済学的メカニズムの実証。
美浜 3 号機の象徴性: 2021 年再稼働の美浜 3 号機は 40 年超の老朽原発の運転延長として認可された初の事例。社会的注目度が高く、関西電力にとっての象徴的存在。
奥多々良木揚水との連携: 関西は奥多々良木(193 万 kW)+ 奥吉野(121 万 kW)の大規模揚水を持つ。原発の余剰電力(特に夜間)を蓄え、ピーク時に放出する運用で、原発の経済効率が最大化される。
他エリアとの差:
- 関西(7 基): 価格本州最安、他エリアより 10-20% 低位
- 九州(玄海 + 川内 = 4 基): 関西と同水準
- 東北(女川 1 基、2024 年再稼働): 関西より高水準
- 東京(柏崎刈羽停止中): 本州最高水準
- 中部(浜岡停止中): 火力中心で高水準
再稼働の経済効果と社会論点: ベースロード復活で価格は下がるが、廃炉費用 + 避難計画 + 高レベル廃棄物処分など長期コストは別途存在。本記事は経済データを見るのみで、社会的論点には言及しない。
注意点
全国データの限界: METI 電力調査統計は 全国合計で、関西電力管内に絞った原発発電量は別途推定が必要。本記事は全国 ≒ 関西 50% 前後 の比例を仮定。Phase B-B 以降で電力会社別データに精緻化候補。
原発比率と JEPX 関西の関係: JEPX 価格は卸価格で、関西電力の小売価格とは別。家庭電気料金は燃料費調整制度経由で原発再稼働効果を受け取る。
規制委員会の審査スピード: 残る原発(柏崎刈羽 + 東通 + 浜岡 + 女川 1, 3 + 島根 1 + 伊方 1, 2 廃炉 + 玄海 1, 2 廃炉)の再稼働進捗で、全国の電力価格構造が今後さらに変わる。
関連 Insight
出典
- METI 電力調査統計(全国原子力発電量、GWh、月次、meti-terms)
- JEPX スポット市場価格(関西エリア、jepx-terms)
- 当データはエネルギー情報センター運営 eic-data-pipeline が毎朝 8:00 JST に自動更新
構成系列: meti-gen-nuclear + jepx-spot-kansai(D-011 depends_on)
編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)
Phase B-A Day 7 で MDX 化(2026-05-06、リン)
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