電力9社の巨大設備:売上の2倍超、10年で2〜4割増えた総資産
電力会社は典型的な資本集約産業だ。大手9社の総資産は売上の2倍前後、しかもこの10年で軒並み増えた。最も拡大したのは中国電力(+42%)、最も抑制的なのは東京電力HD(+10%)。巨大な設備を抱え、なお投資を続けている。
背景:1円の売上に、2円超の設備
電力は発電所・送配電網という巨大な設備の上に成り立つ。前記事(#80 損益のV字 / #81 規模と利益率)に続き、今回は総資産で電力9社を見る。1円の売上を生むのに、どれだけの資産を抱えているか。そして10年でどう変わったか。
データ:電力9社の総資産(連結)
| 社 | 総資産(兆円) | 資産 ÷ 売上 | 10年の伸び | |---|---:|---:|---:| | 東京電力HD | 14.99 | 2.20x | +10% | | 関西電力 | 9.65 | 2.23x | +30% | | 中部電力 | 7.12 | 1.94x | +29% | | 九州電力 | 5.77 | 2.45x | +22% | | 東北電力 | 5.40 | 2.04x | +30% | | 中国電力 | 4.36 | 2.85x | +42% | | 北海道電力 | 2.24 | 2.49x | +23% | | 北陸電力 | 1.86 | 2.17x | +23% | | 四国電力 | 1.69 | 1.98x | +20% |
読み解き
- 売上の2倍超の資産:9社とも総資産は売上の1.94〜2.85倍にのぼる。1円の売上を生むのに約2円分の設備を抱える、典型的な資本集約産業だ。最も資産が重いのは中国電力(2.85倍)。
- 資産は増え続けた:この10年(FY2015→FY2024)で、全9社が総資産を20〜42%増やした。系統・再エネ・原子力などへの継続的な投資が背景にある(上のチャート=関西電力は7.4→9.7兆円)。
- 伸びの差=投資余力の差:最も伸ばしたのは中国電力(+42%)、最も抑えたのは東京電力HD(+10%)。東京HD は規模こそ最大(15兆円)だが伸びは最小で、福島関連の負担を抱え投資余力が限られる構図は、#81 の低い利益率とも整合する。
注: 本記事は過去データ(連結総資産、FY2015-FY2024)の記述的分析であり、将来予測や投資判断ではない。総資産の増減は設備投資のほか、金融資産・繰延資産など多くの要因の複合で生じる。「資産 ÷ 売上」は2025年3月期の総資産と営業収益の比。
出典
- 大手電力9社 連結財務: 金融庁 EDINET(有価証券報告書)。公共データ利用規約(第1.0版、出典明記で再利用可)。
編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)
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