EU各国の脱炭素20年:最も減らしたのは誰か
EU ETS の対象排出量を、加盟国はこの20年で軒並み減らした。最も減らしたのはフランス(-58%)と英国(-57%)、最も鈍いのはオランダ(-14%)。同じEUでも、脱炭素のペースは国でこれだけ違う。
背景:20年で各国はどれだけ減らしたか
EU ETS(排出量取引制度、2005年開始)の対象排出量は、EEA が国別に公表している。前記事では2025年時点の無償割当やギャップを見たが、今回は2005年からの20年の変化を国別に並べる。炭素価格の下で、各国はどれだけ排出を減らしたのか。
データ:EU ETS 対象排出量 2005 → 最新(Mt-CO₂e)
| 国 | 2005 | 最新 | 変化 | |---|---:|---:|---:| | フランス | 131 | 55(2025) | −58% | | 英国 | 237 | 103(2020) | −57% | | チェコ | 82 | 40(2025) | −51% | | イタリア | 226 | 112(2025) | −50% | | スペイン | 184 | 96(2025) | −48% | | ギリシャ | 71 | 39(2025) | −45% | | ポーランド | 203 | 115(2025) | −43% | | ドイツ | 475 | 279(2025) | −41% | | オランダ | 80 | 69(2025) | −14% |
読み解き
- 軒並み大幅減:取り上げた国はすべて、2005年比で4割前後かそれ以上、ETS対象排出を減らした。背景は石炭からガス・再エネへの電源転換、エネルギー効率の改善、重工業の構造変化だ。最大の排出国ドイツも、475→279 Mt と4割減らしている(上のチャート)。
- 大きく減らした国:フランス(−58%)・英国(−57%)・チェコ(−51%)が上位。英国は石炭火力をほぼ全廃した(ただしデータは2020年まで、以降は EU を離脱し UK ETS へ)。フランスは原子力中心で、ETS対象(主に産業)の縮小が進んだ。
- 鈍い国:オランダは−14%にとどまる。天然ガスへの依存が大きく、石炭からの転換余地が他国より小さかったことなどが背景にある。同じ制度の下でも、電源構成と産業構造によって脱炭素の進み方は大きく異なる。
注: 本記事は過去データ(2005-2025年)の記述的分析であり、将来予測ではない。ここでの数値は **EU ETS の対象排出量(発電・重工業・航空など)**であって、各国の温室効果ガス排出量の全体ではない。英国は2020年まで(Brexit 後は UK ETS に移行)。減少率は基準年(2005)と最新年の比較で、年ごとの変動は含まない。
出典
- 国別 EU ETS 検証排出量: European Environment Agency (EEA), EU ETS Data Viewer / EUTL(datahub item)。年次・全部門合計。
編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)
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