電力9社、そろって沈みそろって浮上:燃料危機の傷と記録的回復
2022年度、燃料高と円安で大手電力9社のうち8社が経常赤字に沈んだ。だが翌2023年度、9社すべてが黒字に回復し、関西電力は7,660億円。電力会社の利益は、燃料価格と料金制度のラグでこれほど激しく振れる。
背景:電力会社の財務が読めるようになった
EIC Data の企業IR(corp_ir)ドメインに、EDINET 経由で大手電力9社の財務(連結、10年分)が着地した。電力会社の利益は、輸入燃料の価格・為替と、それを料金に反映する制度(燃料費調整制度・規制料金)の時間差で大きく動く。2022年のエネルギー危機がその損益にどう刻まれたかを、9社の経常利益で見る。
データ:大手電力9社の経常利益(億円・連結)
| 社 | FY2021 | FY2022(燃料危機) | FY2023(回復) | FY2024 | |---|---:|---:|---:|---:| | 東京電力HD | 450 | −2,854 | 4,255 | 2,544 | | 関西電力 | 1,360 | −67 | 7,660 | 5,317 | | 中部電力 | −593 | 651 | 5,093 | 2,764 | | 東北電力 | −492 | −1,993 | 2,919 | 2,567 | | 九州電力 | 324 | −866 | 2,382 | 1,947 | | 中国電力 | −619 | −1,068 | 1,941 | 1,285 | | 北海道電力 | 138 | −293 | 873 | 641 | | 北陸電力 | −176 | −937 | 1,079 | 914 | | 四国電力 | −121 | −225 | 801 | 916 |
読み解き
- FY2022 は総崩れ:9社のうち8社が経常赤字に転落した(黒字は中部電力のみ)。2022年の燃料価格高騰と円安で輸入燃料コストが急騰したが、規制料金や燃料費調整制度の上限により、コスト増を料金へ転嫁しきれず損失が膨らんだ。東京電力HD −2,854億円、東北 −1,993億円と、傷は深かった。
- FY2023 は記録的回復:翌年度は9社すべてが黒字に戻った。関西電力 7,660億円、中部 5,093億円、東京HD 4,255億円。燃料価格の落ち着き、燃料費調整のキャッチアップ、規制料金の値上げが重なり、損益が一気に反転した。
- V字は「制度の時間差」が生む:このV字は一過性の業績ではなく、燃料価格 → 為替 → 料金反映のラグという構造が生むものだ。燃料が上がった年に損失、落ち着いた翌年に反動増益、という非対称な振れ方が、電力会社の財務の宿命として表れている(上のチャート=東京電力HD の10年)。
注: 本記事は過去データ(連結経常利益、FY2015-FY2024)の記述的分析であり、将来予測や投資判断ではない。経常利益は燃料費調整制度のラグ・規制料金改定・特別損益など多くの要因で変動する。億円は百万円単位の原データを 1/100 換算したもの。
出典
- 大手電力9社 連結財務: 金融庁 EDINET(有価証券報告書)。公共データ利用規約(第1.0版、出典明記で再利用可)。
編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)
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