FITで安くなったのは太陽光だけ:電源別 買取価格の14年
再エネの固定価格買取制度(FIT)。太陽光の買取価格はこの14年で 40円→9.9円 と4分の1に下がった。だが地熱・バイオマス・中小水力は 14年間1円も動いていない。FITが安くしたのは、量産の効く電源だけだった。
背景:FIT 買取価格は「コストの鏡」
FIT(固定価格買取制度、2012年開始)の買取価格(調達価格)は、調達価格等算定委員会が各電源の発電コストをもとに毎年決める政策値だ。だから買取価格の推移は、その電源のコストがどう動いたかを映す鏡になる。EIC Data の制度ドメインに、METI の電源別 FIT 買取価格が着地した。主要5電源の14年を並べてみる。
データ:電源別 FIT 買取価格(円/kWh)
| 電源 | 2012 | 2016 | 2020 | 最新 | 14年の変化 | |---|---:|---:|---:|---:|---:| | 事業用太陽光(10kW以上) | 40 | 24 | 13 | 9.9(2026) | −75% | | 陸上風力 | 22 | 22 | 18 | 14(2026) | −36% | | 地熱(15,000kW未満) | 40 | 40 | 40 | 40(2025) | 0% | | 一般木質バイオマス | 24 | 24 | 24 | 24(2026) | 0% | | 中小水力(200kW未満) | 34 | 34 | 34 | 34(2026) | 0% |
太陽光は毎年下がり続け、40円/kWh(2012)から 9.9円(2026)へ約4分の1になった(上のチャート)。陸上風力も 22→14円へ緩やかに低下した。一方、地熱・木質バイオマス・中小水力は、14年間まったく同じ価格(40・24・34円)のまま据え置かれている。
読み解き
- 太陽光は「学習曲線」が効いた:太陽光パネルは世界的な量産でモジュール価格が劇的に下がり、その低下を反映して FIT 価格も毎年引き下げられた。陸上風力も普及でコストが下がり、緩やかに低下した。
- 地熱・バイオマス・水力は下がらなかった:これらは立地依存・高い固定費・案件ごとの個別性が強く、太陽光のような量産=学習曲線が立たない。コストが下がらないため、FIT 価格も14年間据え置かれた。地熱の掘削や水力の土木は、パネルのように工場で安く作れない。
- 「再エネ=みんな安くなった」ではない:FIT が実際にコストを下げたのは、量産可能な太陽光(と風力)だけだった。どの再エネを主力に据えるかを考えるとき、今後もコスト低下が見込めるのはどの技術かを、この14年の実データが示している。
注: 本記事は過去データ(2012-2026年度)の記述的分析であり、将来予測ではない。買取価格(調達価格)は調達価格等算定委員会が決める政策値であって市場価格ではない。各値は代表区分(事業用太陽光10kW以上・非入札/陸上風力・非リプレース/地熱15,000kW未満・新設/一般木質バイオマス・入札対象外/中小水力200kW未満・新設)の値で、同じ電源でも規模・条件で価格は異なる。
出典
- 電源別 FIT 買取価格(調達価格): 経済産業省 資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」買取価格・期間等。政府標準利用規約(出典明記で再利用可)。
編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0)
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