EIC Data

中国 NBS 製造業 PMI × 日本電力需要:世界第 2 位経済の景気が日本工業電力に届くトンネル

中国 NBS 官製 製造業 PMI (china-nbs-mfg-pmi、月次、index) と日本電力販売量 (meti-demand-total、月次、GWh) を 2 軸時系列 + 短期ラグで定性的に観察。中国景気減速 → 日本輸出減 → 日本製造業稼働低下 → 電力需要減という長いトンネルの構造を解説する。⚠️ 本記事の china-nbs-mfg-pmi2025-04〜2026-04 の 13 ヶ月のみが観測可能で、サンプルが少ない。相関の強弱は断定せず、定性的な対比に留める (L-051 / L-062)。

背景

製造業 PMI (Purchasing Managers' Index、購買担当者景気指数) は、購買担当者へのアンケートから新規受注 / 生産 / 雇用 / 在庫 / 入荷遅延の 5 項目を合成して算出される景況感指数で、50 を境界として 50 超が拡張、50 未満が収縮を意味する。

中国の製造業 PMI には 2 系統あり、本記事では 中国 国家統計局 (National Bureau of Statistics, NBS) が CFLP と共同で公表する官製 PMI を採用する。NBS PMI は大企業 + 国有企業を中心にした調査で、インフラ + 不動産 + 重工業の動向を反映する。

補足:もう 1 系統の Caixin PMI (S&P Global / Caixin 共同) は中小企業中心の指数だが、ライセンスが proprietary で公開データ基盤に直接取り込めないため不採用 (L-063)。FRED にも NBS PMI 直系列は存在せず、catalog では NBS 英語版プレスリリースから直接抽出している。

日本の対中輸出は GDP の約 4% (年 17 兆円規模)、製造業全体の海外売上の 約 20% を占める。中国経済の動向は日本製造業の稼働率に影響し、その電力需要にも連鎖的に波及しうる。想定される伝播経路は:

  1. 中国 NBS PMI 下降 → 中国製造業稼働低下 + 輸入需要減
  2. 日本からの輸出減 (自動車部品 / 機械 / 電子部品 / 化学品)
  3. 日本製造業の受注減 → 在庫調整 → 減産
  4. 製造業向け電力需要減 (大口需要家の使用量減)
  5. 日本電力販売量 (meti-demand-total) 全体に波及

リーマンショック以降のグローバル景気サイクルでは、この連鎖は 6-12 ヶ月のラグで発現したとされる。本記事は Insight #44 (米失業率 × 日本電力需要) の中国版に相当する構造分析だが、catalog の china-nbs-mfg-pmi 系列が 2025-04 以降の 13 ヶ月しかカバーしないため、ラグ構造の定量検証は後年データ蓄積後に再評価する。

チャート 1: 中国 NBS 製造業 PMI (index、月次、50 = 拡張/縮小の境界)

Loading china-nbs-mfg-pmi

チャート 2: 時系列 2 軸対比 (中国 NBS PMI + 日本電力需要)

Loading china-nbs-mfg-pmi × meti-demand-total

PMI の 50 ライン (拡張 / 縮小の境界) を跨ぐ動きと、日本電力需要の月次推移を 13 ヶ月の範囲で並べる。需要側は季節性 (夏冬の山 + 春秋の谷) が強く、13 ヶ月では PMI 側との位相関係を確定的に語れない。長期ラグ構造の見立てを目的とした観察で、月次の上下が連動しているかどうかを目視で確認する用途に留める

チャート 3: 中国 NBS PMI → 日本電力需要 短期ラグ相関 (0-3 ヶ月、参考)

Loading lag correlation: china-nbs-mfg-pmimeti-demand-total

⚠️ 観測期間が 13 ヶ月と短いため、ラグ 0-3 ヶ月の各バーも 10-13 点のサンプルで計算される参考値。バーの絶対値は信頼区間が広く、ピーク位置や符号を断定的に語らない。後年データ蓄積後に 0-12 ヶ月走査へ拡張し、Insight #44 (米失業率) と同様の 6-9 ヶ月ラグ構造を改めて検証する予定。

構造的伝播パスの見立て (歴史的文脈)

過去のグローバル景気サイクルでは、本記事の連鎖は概ね以下のラグで発現したとされる:

  1. 中国 PMI 下降認識が日本企業に伝わるまで 1 ヶ月 (月次公表後)
  2. 対中輸出注文減少が製造業に届くまで 2-3 ヶ月 (受注リードタイム + 為替確認)
  3. 日本側で減産判断 → 電力需要減まで更に 2-3 ヶ月 (在庫調整サイクル)
  4. 合計 6-9 ヶ月で電力需要に届く

リーマンショック後の日本電力需要減 (2009-2010) は、中国 PMI 急減 (2008 Q4 → 2009 Q1) から 9 ヶ月遅れで底を打った構造とされる。本記事の 13 ヶ月データでは、この長ラグの全体像は捉えきれず、短期の方向感の目視チェックに留まる

業種別電力需要の不均一性

日本電力需要のうち製造業向けは産業部門の約半分 (全体の約 20%)。家庭部門 (約 30%) は中国景気と無関係、業務部門 (約 30%) もインバウンド観光以外は鈍感。

このため日本電力需要全体は、製造業電力に比べて中国 PMI への感応度が低い構造。製造業向け電力単独の系列が catalog に追加されれば、本記事よりも明瞭な連動が見える可能性がある。

NBS PMI と業種偏り

NBS PMI は大企業 + 国有企業中心 = インフラ + 不動産 + 重工業を反映するため、日本の対中輸出 (自動車部品 + 電子部品 + 機械の中間財中心) との対応はやや間接的になる。中小企業中心の Caixin PMI と並読すると見立てが揃いやすいが、Caixin はライセンス制約で本サイトには取り込まない (L-063)。

注意点

観測期間が短い (13 ヶ月)

china-nbs-mfg-pmi の catalog 収録は 2025-04 以降の 13 ヶ月のみ。リーマン / コロナ / ゼロコロナ / 再開期といった構造的ショック局面は含まれず、本記事は平常期内の短期観察に限定される。ラグ相関の数値も参考値で、ピーク位置や強弱を断定的に語らない (L-051 / L-062)。

多要因混在の制約

日本電力需要は中国 PMI 以外にも、米景気 (Insight #44 / #42)、為替 (Insight #43)、気候要因、原発再稼働 (Insight #20) など多要因で決まる。本記事は中国 PMI 単独の対比に過ぎない。

産業構造の長期トレンド

日本は 2010 年代以降、海外生産シフトで国内製造業 GDP 比率が低下 (28% → 21%)、対中輸出依存度も漸減。仮にラグ相関を長期で取れたとしても、2010 年代より 2020 年代の方が弱くなる構造的トレンドがある。

関連 Insight

出典


構成系列: china-nbs-mfg-pmi (NBS 官製、2025-04〜2026-04 の 13 ヶ月) + meti-demand-total 編集物著作権: EIC Data (CC BY 4.0) Phase 2 batch 2 web 側 remediation (2026-05-27): Caixin PMI (proprietary、L-063) → NBS 官製 PMI に差替え、観測期間 13 ヶ月の制約を明示し相関の強弱を断定しない記述に統一 (L-051 / L-062)

📋 引用形式コピー

License: CC BY 4.0 / accessed_at は自動補完
@misc{eic-data-china-pmi-vs-jp-demand,
  title = {中国 NBS 製造業 PMI × 日本電力需要:世界第 2 位経済の景気が日本工業電力に届くトンネル (china-pmi-vs-jp-demand)},
  author = {EIC Data (一般社団法人エネルギー情報センター)},
  year = {2026},
  url = {https://data.eic-jp.org/insight/china-pmi-vs-jp-demand},
  note = {Accessed: 2026-07-03; License: CC BY 4.0},
  publisher = {EIC Data}
}
学術引用 + 媒体取材の出典として使用可。一次出典 (本サイト) も併記推奨。

💬 リーダーコメント

GitHub Issues 連動 (全コメント一覧)

コメント投稿には GitHub アカウントが必要。投稿は kenjieda-eng/eic-data-web リポジトリの Issue (label: comment) として保存され、誰でも閲覧できます。

コメント欄を読み込み中…

続報を週次で受け取る

EIC Data の Insight 新着 + JEPX 特異日 + 用語集新項目を、毎週土曜朝にお届けします。

EIC Data 週次ニュースレター

毎週土曜朝、Insight ハイライト + JEPX 特異日 + 用語集新項目をお届けします。